中野区エスニックマップ

コラム

未知の味と人生とを、教えてくれる場所

未知の味と人生とを、教えてくれる場所

執筆者 / 室橋裕和

タイ、インド、スイス、ドイツ、韓国、中国、ネパール、アメリカ、パキスタン、メキシコ、トルコ、フランス、スロバキア、ウズベキスタン、バングラデシュ、台湾、ベトナム、ミャンマー、スリランカ、ハイチ、北アフリカ、アフガニスタン、ロシア、チリ、ナイジェリア……そして日本を含めれば26の国と地域のレストランが、この「中野区エスニックマップ」には詰まっている。数えてみてあらためてビックリした。これだけ世界の料理が食べられる自治体がどれほどあるだろうか。僕は中野のすぐとなり新大久保に住んでいて、こちらはまさしく多国籍の街なのだが、そんな新大久保住民からしても中野の多様さには驚きだ。
新大久保は同胞の外国人だけを相手にしたビジネスも成り立つ場所だが、中野はだいぶ性格が違う。日本人客もイメージした店が中心で、常連に愛された地元密着型の店もまた多い。そこが、商業地でもありつつ基本は住宅街である中野という街の在り方を反映させているようにも見える。
なんてことを考えつつ誌面を眺めてみると、世の中にはまだまだ知らない食文化がたくさんある……とヤル気が湧いてくる。日本人は食への探究心が強い。「食べたことのないモノを食べてみる」ほどのワクワクはなかなかない、と僕も思う。
そして、料理について聞くうちに店主やスタッフの外国人から、中野にやってきたいきさつを聞かされることもあるだろう。日本人には思いもつかない苦労話や笑い話を披露してくれるかもしれない。みんなお互い、人生がんばってる同士にすぎないんだなと思わされたりもする。
僕にとって異国のレストランは、未知の味と人生とを、教えてくれる場所だ。中野にはそんなところが、この冊子によれば書店や雑貨店なども合わせると60もあるらしい。すごく豊かなことだと思う。ぜひ新大久保となにかコラボしましょう(笑)。

室橋裕和(本誌編集補佐、新大久保在住)