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コラム

同じ街に暮らす生活者として

同じ街に暮らす生活者として

執筆者 / 室橋裕和

 外国人が営む店に漂う、ある種のゆるさが好きだ。日本人のきっちりした接客とはだいぶ違ったのんびりさに、なんだかホッとさせられる。肩の力が抜ける。初見なのに気まぐれになにか出してくれたり、余裕があるときはメニューにないものをつくってくれたり(その逆にメニューにあるのに「今日はない」と言われることも往々にしてあるのだが)、マニュアル抜きのおおざっぱなノリが僕の性には合っている。居心地がいいものだから、ついうっかり長居して、閉店時間を過ぎちゃっても見過ごしてくれたりもする。
 そして手が空いたきに話しかけてみると、母国のことや日本での暮らしのことを気さくに教えてくれる。日本人顔負けの流暢な日本語でまくし立ててくる人もいれば、カタコトながらも一生懸命に言葉を探して説明してくれる人までいろいろだけど、初対面とは思えないフレンドリーさが楽しい。

 お客の外国人たちもだいたい親切だ。メニューを見てもどんな料理なのだかさっぱりわからず困っていると日本語で助け舟を出してくれたり、ときには結婚や誕生会なんかのパーティーに出くわして、異国のセレモニーを見せてくれることもある。シャイな日本人からすると戸惑ってしまうくらいの距離の近さがある。そこに温かさを感じると、常連になってしまうのだ。
 お店の人たちと親しくなれば、きっといろいろな話を交わすことだろう。
 「子供の学校がね」とか「確定申告、たいへん」とか「実家の親が今度、日本に来るんだ」とか、「最近は米も野菜も値上がりして」なんて聞けば、なんてことはない、外国人も僕たちと同じ生活者であるという当たり前のことを実感する。

 いま日本に、そして中野区にも急増している外国人。レストランや食材店は、その暮らしぶりがよく見える窓口のようなものだ。この日本を異国として生きる人々に興味を持ったなら、訪れてみてはどうだろうか。